目次
こんにちは、卒論の原型を書き終えて、おそるおそる添削依頼をしたばかりのあきとです。
あと一か月かそこらで提出なので、最近精神的に落ちつかないんですよね。
まあたぶん、来月になって卒論が終わってしまえば、「あ、あの頃は懐かしかった」という身勝手なノスタルジーに浸ることになるのでしょうが。
今回は、いつか書いた記事のつづきです。
なんでオーストラリアとイギリスはAUKUSに入るようにお誘いを受けたのか。
背景は割と簡単なんですけど、記事の数をつみあげると自己満足できるので、今回もちゃちゃっと書いていきたいと思います。
イギリス
面目丸つぶれ
アメリカが中国に対抗するためのお友達を募集するにあたって大切にしていたことは、中国にたいする危機感をお互いにきちんともっているかどうかということです。
日本みたいに媚びてばかりいるような国には誘いの手はのびてきません。
ではイギリスは、なぜ中国を強く意識しているといえるのか。
それはひとえに、「香港」問題です。
長らくイギリスの領土だった香港は、99年間という中途半端な契約期間を経たのちに、中国のもとに返還されました。たぶん、1997年のことです。
自由民主主義を標榜するイギリスに統治されていたわけですから、もちろん香港にも、資本主義や部分的な民主化が導入されていました。
せっかく根付いた資本主義などを中国にぶち壊されたら元も子もありません。
てなわけで中国とイギリスは、「2047年までは、香港の政治体制を変えません!」という契約を結んだわけです。
これがいわゆる、一国二制度のはじまり。
中国という国の中に、異なる体制の国が二つ入っているといいうことですね。
しかし今の香港は、完全に中国の属国。
返還当時のイギリスの期待はまんまと裏切られ、香港は完全に中国の手の中に落ちてしまいました。
自分たちがつくりあげた国(自治区?)の制度が、中国という一国によって転覆させられてしまった。
これは、イギリス政府にとってはまさに侮辱的な出来事で、面目丸つぶれです。
グレートブリテンへ
同時にイギリスでは、EUという超国家的な共同体に自分たちの権利のおおくを渡してしまっている状態に異論をとなえる国民が増えてきました。
超国家とは、複数の国家をさまざまな方向性から束ねている存在のことで、たとえばEUの場合は、行政や経済、労働などの面で超国家的な権力をもっています。ちなみにEU憲法に拘束力はないらしいです。
いわゆる、ブレグジットですね。
この「ナショナリズム」的傾向を露わにしたイギリスからすれば、人としたお約束すら守ることができない中国にいちいち媚びを売りつづけることはしたくない。
結果的にイギリスは、艦隊「クイーンエリザベス」などを引き連れて太平洋を航海した入り、ぼくたち日本の自衛隊と訓練したりしてくれるようになったわけです。
いやあ、クイーン・エリザベスって男心をくすぐるようなネーミングですよね。えらいかっちょいいです。
対中+ナショナリズム
「グローバルの経済より価値観だ」
「現状のルールを何としても守り抜くのだ」
香港やブレグジットによりこうした現実を共有するようになったイギリスは、アメリカが同盟への参加をもとめるお手紙を送る相手としては格好の存在。
しかもイギリスは、ファイブアイズ加盟国であり、アングロサクソン系国であり、英語圏です。たくさんの共有する価値観をもっていたからこそ、イギリスと協力する気になったのでしょう。
って、冷戦時代から米英は仲良しこよしですけどね笑
オーストラリア
プレッシャー
オーストラリアはいつから中国から嫌味を言われるようになったのでしょうか。
わからないので調べてみると、どうやらやっぱり「お金、賄賂」が絡んでいたようです。
もともと豪中は経済的なパートナーシップやFTAを結んでいただけあって、そこまで犬猿の仲というわけではありませんでした。
事の発端は、オーストラリアの政党が中国共産党からたくさんのわいろを受けとって、オーストラリア政治を中国寄りに動かしていたことが判明した2017年ごろです。
当然これに怒り心頭の国民や、それに触発された政権は、「外国が政治に介入しないようにする」ための法律案をつくりました。
ですが、被害妄想甚だしい中国は、「この法律はおれたちを標的にしたんだな!」と勝手に怒り、勝手に関係を悪化させるのでした。
いわゆる「政治とカネ」の問題がトリガーとなり豪中関係の悪化がはじまります。
オバマの遺産
そのあと中国が南シナ海に進出しはじめたわけですが、当時の米国大統領オバマ氏は、これを本気で止めることはしませんでした。
そして気づいたときには、南シナ海の各地には、ご立派な滑走路やヘリポートをはじめとする軍事施設が備えつけてある人工島がわんさかつくられていました。
しかもこれらの人工島は、オーストラリアとあまり離れていないところにある。
中国本土とオーストラリア本土のあいだには一定の距離があることは確か。
ですが、人工島の建設により、中国の軍事力によってオーストラリアの安全保障が脅かされるという現実があらわになってしまったのです。
こんなことを放置していたオバマ氏には、なんとノーベル平和賞が贈られたわけなんですけどね。
コロナ問題
極めつけは、コロナです。
オーストラリア首相のモリソンさんはさらに、中国から脅迫状を受け取ります。
内容はたとえば、
- 反中報道を抑制せよ
- コロナ中国起源説を肯定するような発言は避けよ
のように、プーさんという野蛮人の意図に沿うような国家運営をするようにと、警告されてしまったのです。
オーストラリアにとって中国の14億の市場は捨てがたいですが、彼らにも安全保障、価値観、文化、プライドというものがある。
自分たちのことは自分たちで守りたいが、狡猾な中国に一国で対抗するにはさすがに不安がある。
アメリカのお誘い
こうしたオーストラリアの窮状に見事につけこんだのが、アメリカでした。
世界でも数か国しか保有していない原子力潜水艦をつくることを置き土産に、自分たちだけの英語圏軍事同盟をつくろうではないかと、提案したわけです。
オーストラリア近辺には複雑に入り組んだ地形があるのですが、その付近に原潜をおくことで、中国艦隊にたいしてパトロール・待ち伏せのような対処ができるようになります。
さらにここに、かつて世界の海を支配下に置いており、現代では「グローバルブリテン」としての地位を志向しようとしているイギリスを仲間に入れてしまえば、なんと。
アジア、ヨーロッパ、北米の英語圏三か国による屈強な同盟が立ちあがるわけです。
まとめ
決まりを守ることができず、その決まりをも破壊しようとするプーさん。
決まりを守り、お互いに権利や自由を譲歩しあえる今の社会を守ろうとする米国、イギリスなどなど。
新冷戦などいわれている戦いの本当の山場は、海洋や人権に関する国際協定を守りきることができるか否かにあると思います。
ぼくは、国連とかに主権を委譲してしまうのはあまりすきではありませんが、海洋漁業や宇宙開発、貿易をはじめとする国家横断的な利益が相対する現代国際社会においては、やっぱりなんらかのルールをつくっておいたほうがいいことは確かです。
自由に行動するためにも、お互いに相手の自由を承認しなければならない。そのためにも、お互いの自由には何らかの制限がかけられても仕方がないのです。
かんたんにいえば、自由にあらかじめ線引きをしておいたほうがいい。
その線引きをなんとか守り抜くために、AUKUSさんには体を張ってがんばっていただきたいです。
ぶっちゃけ期待できるのは、モリソンさんとジョンソンさんですけどね。バイデンさんって、口では強いことをいいながら、経済的に強烈なアッパーをくりだすことがすくないんですよね。彼はボケも疑われてるんで、あまり期待してないです。
雑記
最近、自由とか権利ばかり主張したがる人が増えていますよね。
一方の自由や権利が広がるということは、もう一方の自由や権利が狭くなるということです。
自称リベラルな人は、前者ばかりを重視して後者を軽視しがち。