こんにちは、あきとです。
公務員試験が終了したのも束の間、次なる敵は卒業論文です。
ぼくは国際政治学、中でもアメリカにおける移民問題を研究テーマにしています。
内容が内容だけに、国内の文献は当然のこと、諸外国の雑誌や論文も参考文献として含めなければなりません。
ぼくは英語が読めないわけではありません。ですが、政治や思想に関する文章を英語で読解(というよりもはや解読)する時間や手間が少々惜しいと感じてしまうわけです。
そこでご紹介するのが、DeepLという英語翻訳アプリです。
- DeepLの概要
- DeepLの機能
- DeepLの画面<Windows web ver>
- DeepLの画面<Windows app ver>
- DeepLの翻訳性能
- DeepLの効果的な使い方
- 注意:PDFの翻訳
- まとめ
DeepLの概要
DeepLとは、「世界一高精度な翻訳ツール」のこと。
対応している言語は、日本語や英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語、スウェーデン語、中国・・・など多数
運営している会社はドイツのケルンに本拠地をおいており、日本を含む世界数十か国でDeepLを展開しています。
次は、具体的な機能の紹介です。
DeepLの機能
DeepLの機能。それは第一に翻訳、第二に翻訳、第三に翻訳です。
また、無料バージョンと有料バージョンが用意されています。
有料プランは、月数百円で加入できるらしく、一度に翻訳できる文字数が無制限になり、他にもAPIみたいな謎の機能が使えるようになるそうです。ちなみに、無料のままでも、最大5000字までならどの言語でも翻訳することができます。
卒論で必要な箇所だけ翻訳したい僕みたいな人であれば、わざわざ課金して有料バージョンを使う必要はなさそうですね。
DeepLの画面<Windows web ver>
これが、ウェブバージョンの画面。
目障りな広告やマスコットキャラがいない精錬されたデザインですね。おかげで、集中力をかき乱すことなく、一心不乱に翻訳作業を進めることができます。
使い方は、左に翻訳したい文章を入力したりペーストしたりするだけ。
無料バージョンであれば、翻訳できる文字数の上限が5.000字なので、もし10,000文字を入力したい場合には、二回にわけて翻訳する必要があります。
web versionがあるということは、app versionもあるということ。
appの画面は、こちらです。
DeepLの画面<Windows app ver>
さすがはアプリ。
web verからさらに不要な要素を削ぎ落したことで、さらにシンプルでスタイリッシュなデザインになりました。使い方や文字数制限については、ウェブバージョンと変わりません。
DeepLの翻訳性能
翻訳サービスの本髄は、デザインよりも翻訳の精度です。というわけで次に、具体的な翻訳性能をご紹介します。
題材は、とりあえずBBCニュースの記事を選んでみました。。
Google翻訳とDeepL翻訳の双方を比較してみます。
結論を先に言います。Google翻訳はThe直訳、DeepLはThe意訳でした。
読みやすさでいえば、DeepLの圧勝です。
まずは、Googleから。
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<GOOGLE翻訳>
<DeepL>
声明の中で、レバノンの国営電力会社は、国の電力の約40%を供給している2つの発電所の閉鎖も確認しました。
伝えられるところによると、彼らの閉鎖は電力網の「完全な停止」につながり、「その間に操業を再開する可能性はない」と述べた。
アルジャジーラは、国営電力会社の事務所の外にある北部の町ハルバでの抗議と、トリポリ市でタイヤを燃やして道路を封鎖している住民を報告している。
国はまた、2020年8月のベイルート爆発の余波に取り組んでおり、219人が死亡し、7,000人が負傷した。
爆発の後、政府は辞任し、政治的麻痺を残した。ナジブ・ミカティは、前政権が辞任してから1年以上経った9月に首相に就任した。
先月、過激派グループのヒズボラは、不足を緩和するためにイランの燃料を国に持ち込みました。その反対派は、グループがその影響力を拡大するために燃料供給を使用していると言います。
DeepL:
レバノンの国営電力会社も声明の中で、2つの発電所の停止を確認しました。この2つの発電所は合わせて同国の電力の約40%を供給しています。
声明によると、発電所の閉鎖により電力網が「完全に停止」し、「当面、運転再開の可能性はない」とされています。
アルジャジーラによると、北部の町ハルバでは国営電力会社のオフィス前で抗議活動が行われ、トリポリでは住民が燃えるタイヤで道路を封鎖しているという。
また、同国は2020年8月にベイルートで発生した219人の死者と7,000人の負傷者を出した爆発事故の余波にも悩まされています。
この爆発事件の後、政府は総辞職し、政治的には麻痺状態となった。9月にナジブ・ミカティ氏が首相に就任したが、前政権の退陣から1年以上が経過している。
先月、過激派組織「ヒズボラ」がイラン製の燃料を持ち込んで不足を解消した。ヒズボラの反対派は、ヒズボラがこの燃料供給を勢力拡大のために利用していると主張している。
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
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タイトルの翻訳性能
- Lebanon left without power as grid shuts down
普通に訳したら、「レバノンンは、送電線が落ちて電力がなくなった」みたいになりますよね。
Googleの場合は「グリッドがシャットダウンしたため、レバノンは電力が供給されないままになりました」。かなり片言の直訳です笑。
一方でDeepLは、「レバノン、送電網が停止して無電力状態に」です。タイトルの訳し方がタイトル然としています。日本の新聞で掲載されても特に違和感は抱きませんね。
実は英語記事のタイトルを訳す作業はかなり至難の業。時制の省略などを意識しなければならないからです。DeepLは、それを卒なくこなしてしまうのですから、その機能の優秀さには頭が下がる思いです。
内容の翻訳性能
DeepLは内容面でもGoogleを大きく上回る翻訳精度を誇ります。
たとえば、以下の文章の翻訳を比較してみましょう。
「Many Lebanese people already depend on private diesel-powered generators for power. These however have become increasingly expensive to run amid the lack of fuel, and cannot cover for the lack of a nationwide power grid.」
Google:多くのレバノン人はすでに電力を民間のディーゼル発電機に依存しています。しかし、これらは燃料不足の中で実行するのにますます費用がかかり、全国的な送電網の不足を補うことはできません。
DeepL:レバノンでは、多くの人々が自家用のディーゼル発電機で電力をまかなっています。しかし、燃料が不足しているため、発電機のコストはますます高くなり、全国的な電力網の不足を補うことができません。
内容自体はGoogleでもDeepLでも十分に理解することができます。ですが、その読みやすさは、DeepLに軍配が上がるようです。
たとえば「depend on」は、Googleでは「依存する」、Deepleは「まかなう」と訳されています。
ですが、電力は発電機でまかなうものであり、「依存する」という不可思議な動詞を使う場面は日本でもあまり多くありません。
この場面だけでも、Googleが圧倒的に直訳に「depend on」している様をご理解いただけると思います。
DeepLの効果的な使い方
ぼくは、卒論で引用したい英語の文献があり、その英語の読解に時間がかかりそうな場合に限り、DeepLを半ば翻訳の補助的なツールとして使用しています。
あくまでDeepLは補助的な道具です。
またぼくは、DeepLの翻訳に絶対的な信頼を置いているわけでもありません。超高性能ツールといえども、その実態はプログラミングされたツールにすぎないからですなので、翻訳結果を疑義なく信頼するのは大変に危険。
ちなみにぼくは、DeepLの翻訳結果が得られたら、自分でも該当箇所を再度検討してみるようにしています。やはり人間の目で、文脈相互の意味を確認した方が安心ですからね。
たとえば、もし「Not」のかかる箇所が間違えていれば、それは論文の結論の方向性を左右する無視できない要素になります。
結局自分で検討するなら、最初から自分で訳した方が早いと思われるかもしれません。ですが、自分が何の前提知識もないまま難解な英文を読解するよりも、DeepLの高精度な翻訳結果を事前に読んで、該当箇所の概要を把握してからその英文を読解する方が、圧倒的に時間も手間もかからずに英文を読みこなすことができるのです。たしかに、簡単な英文であれば、逐一DeepLに頼るよりも、はじめから自分で読解した方が時間効率がいいかもしれませんが、難解な英文は、一度DeepLを介在した方が、そのあとの自己確認が非常にスムーズに進むことはぼくの経験上間違いないと思います。まあ、お好きなように使ってみてください!
注意:PDFの翻訳
PDFをコピペして翻訳しようとすると、不可解な箇所で段落が途切れてしまう現象に見舞われることが往々にしてあります。これは、GoogleでもDeepLでも同じことです。
段落が意図しないところで途切れるので、若干ストレスがたまります笑。
そこでぼくがつかっているのが、ウェブブラウザのURL欄。
やり方は簡単です。
- PDFの該当箇所を「Ctrl+C」でコピー
- URL欄に「Ctrl+V」で貼り付け
- URL欄を「Ctrl+A」で全選択
- 全選択した箇所を「Ctrl+C」でコピー
- DeepLの該当箇所に「Ctrl+V」でペースト
これで完了です。
5つのステップだけで、PDFをストレスなく訳すことができます。
ちなみにwindowsのapp verであれば、手順4の全選択の後に「Ctrl+C+C」を押すと、その部分を自動でペースト・翻訳することができます。
「Ctrl+C+C」の部分は、DeepLに自由に設定できるショートカットキーです。各自使いやすいキーに変えることもできます。
まとめ
Google翻訳は翻訳ツールの代名詞といえる存在でした。ですがこれからは、DeepLがその牙城を切り崩すと期待しています。
卒論と戦うぼくからすれば、DeepLの地に足着いた正確な翻訳性能は、今や手放すことができないぼくの右腕のような存在です。そう考えると、昔の人は、辞書とテキストだけを頼りに論文と格闘していたのですから、その優秀さには頭が下がる思いです。
さて、卒論の完成まであと少し。最後まで気を抜かずに、悔いのない作品に仕上げられるように努力したいと思います。