目次
はじめに
第百代内閣総理大臣、第27代自民党総裁に選ばれた岸田文雄さん。
いわゆる「いい人」である彼には、各市の世論調査でも超微妙な評価を与えられています。
そして、ぼくもいまいち、彼のイメージをつかみかねています。
総裁選の時におこなわれた討論会をすべて見ていたわけではないのですが、いまいち岸田さんが目指している具体的な国家観とか、いわゆる政治的な理念が見えてこないんです。
たとえば安倍さんは、ガッチガチの保守的な思考の根をもっていました。
家族観にしろ皇統問題にしろ、何を大事にしているかという「理念」をもっていたんですよね。これは、安倍さんが総裁選で支援していた高市さんにも同じことがいえます。
絶対にゆずれない信念をもっているということは、政治家であるかぎりは必要なことだと思います。
ただ、岸田さんは、まるでロボットのよう。
得意なことを聞かれたら、「人の話を聞くこと」という謎のアンサーが返ってくる事態。
皆さんの周りにいますか?
「いや~、おれ、人の話をよく聞くことができるんだよね!!」みたいな自慢をする人。
どこを自慢しているのかまるで理解できませんが。
で、結局無難なことを言いつづけて、特に成果もボロもださずに1~2年程度の短命政権になってしまうのかなと、心配しています。
党4役や各官僚には、経済安保や原発推進をつよく訴える方々がそろっているのに、短命で終わってしまったらもったいない。
今回は、金融所得課税をテーマにダラダラと書きつづりたいと思います。
金融所得課税の発表と撤廃
「新しい資本主義」という分かるようで分からないネーミングの経済政策を発表した岸田首相は、その中の一つの手段として、高額所得者にたいする課税を強化する政策を発表していました。
今の税制度は、いわゆる株でめちゃんこ稼いでいる人(具体的には、所得一億円以上)を優遇している向きがあります。
こうした、たくさんお金を稼いでいる富裕層が得をする制度を変えるための制度が、金融~です。
格差の是正と未来への不安の解消をとおして、
日本を再度活性化させるための渾身の政策が、
彼のいう「金融所得課税」らしいです。
そしてこれは、岸田さんが掲げている経済政策のおおきな柱である「脱新自由主義」、「公的価格の見直し」、「金融所得課税の見直し」の三つのうちの一つでした。
しかし彼は早々に、自ら課税導入を見送る考えをしめしました。
資産の没収が成長につながる?
個人的には、岸田さんの見送りの決断は大正解だったと思います。
なぜなら、資産の没収が成功につながるとは到底思えないからです。
また、「資産が没収される」ことがわかっているにもかかわらず、日本の市場に大事なお金を投資しようと考える機関投資家や外国の投資家がでてくるとは、みじんも考えられないからです。
普通の投資家であれば、課税率がたかい国よりも、ひくい国に投資したがります(たとえばアメリカは、投資家を守るためのルールがめちゃんこ整備されているらしいです)。
ただでさえお金の流れが悪い日本から、貴重な投資家のお金までをも取り除いてしまう。
それは、日本経済にとって自殺行為です。
ここまで考えてみると、岸田さんの政策の矛盾がだんだんと明らかになってきます。
それは、「富裕層の撲滅」と「経済成長・内需拡大」を同時に進めようとしていることです。
彼が進めたいはずの格差解消の至上命題とは、おそらく「貧困の撲滅」であるはず。
ですが、この命題がいつの間にか、「富裕層の撲滅、罰金」へと移りかわってしまっているのです。
再活性化への道
潜在的成長率が0%近いといわれている日本。
なかなか伸びない所得に加えて、なかなか現れない成長産業。
所得と産業をバックアップすることは、国民の財産と国家の名誉を守ることを生業とする国の使命です。
そのためには、主に二つのことを達成しなければならない。
一つには、稼げる人を増やすこと。
二つには、稼げる企業を増やすこと。
以上二つを達成することで、稼いだお金を安心して使える消費者を増やす必要があります。
これらを進めるための代表的な政策が、東京都における国際金融都市化計画です。
この計画は、自由な経済活動を保護するためのルール整備や規制緩和を行うことで、いろいろな国から首都・東京にお金やビジネスをもちこみ、東京を世界における国際金融都市にすることを目的としています。
成長が見込めず、消費マインドも冷え込んでいる日本にお金を集めたい。
そのために、まずは首都である東京を金融都市の一大拠点として有名にしてしまおうということです。
では、そこに「金融所得課税」を加えるとどうなるのでしょうか。
課税が強化された都市に、投機的マネーを注ぎ込みたいと思う資本家がいるでしょうか。
あまりいないと思います。
逆に、東京に投資するインセンティブを削いでしまうでしょう。
個人的には、参入障壁とか厳しい課税ルールをどうにかしてあげたほうがいいと思います。
たとえば、相続税や固定資産税のような部分の改革を進めるのもいいかもしれませんね。
中間層の拡大のために不可欠な二つのこと
規制緩和を通して日本を活性化させるためには、岸田さんが言うとおり、「成長と分配の好循環」を実現させることが大切です。
では、貧困層を撲滅して分厚い中間層をつくりだすためには、何が必要なのか。
ぼくは、以下の二つだと思います。
1:税収の拡大
2:具体的な国家の成長戦略
消費税や法人税などの税収を増やすことで、貧困層を持ちあげるための財源を確保します。
そのために必要なのは、持続可能な税収入を得るための現実的な計画。
「現実的」という言葉をつけたのには理由があります。
たとえば、貧困層をなくすために、一人10万円の現金給付を行うことは正しいでしょうか。
去年のような緊急事態においては正しいかもしれませんが、給付を永遠に行うことはまったくもって現実的ではありません。
そもそも、特別定額給付のお金が内需、個人消費を押しあげたとは言い難いですしね。
毎年100兆円規模の定額給付を行うのは、さすがに無理があるのかなと思います。
さて、所得の拡大にしろ税収の増加にしろ、まずつくるべきものは「成長戦略」です。
稼げる企業や研究を生み出したりするために、量子技術や6G、バイオ、デジタル、SMRなどの事業にたいしてガンガン支援する。
そして、日本のGDPのパイそのものを大幅に拡大して、消費税や所得税、法人税を大幅に増やす。
こうして増えた税収を貧困層撲滅のためのお金に使えばいいのです。
それは、教育資金なのかもしれない。ベビーシッターなどの国家資格化と、その利用にたいする税額控除なのかもしれない(高市氏)。公的価格の見直しかもしれない(岸田氏)。
何をするにせよ、まずは日本経済のパイをガンガン大きくしていかなければ何もはじまりません。その点、原発を廃止してエネルギー危機を招きたい立憲民主の政策は、あきらかに無理算段であると言わざるをえません。
地方という欠かせないピース
さらに、成長するべきなのは、産業だけではありません。地方もです。
日本は、47個のパズルピースが揃ってはじめてできあがるジクソーパズルのようなもの。どのピースも、抜け落としたり汚したりしてはいけません。
岸田さんは「デジタル田園都市」とか「所得倍増」とかおっしゃっています。
たしかに、地方に投資をしたり観光産業を伸ばしてあげたりすることは急務でしょう。
観光産業は、交通や飲食、宿泊、百貨店をはじめとする多くのビジネスの活性化につながりますからね。
ただ、「地方への投資」についてはまったく具体策が見えてこない。
とりあえず5G網をひくとか、工場を誘致するとか、まだその程度です。
5Gとか半導体とか、それっぽいことを言えばいいと思っているなら、大間違いです。
個人的には、思いっきり税制優遇策をとったほうがいいのではないかなと思います。
簡単に言えば、トランプ前大統領の真似をすればいい。
「安く作って高く売る」がモットーのグローバル企業の生産拠点を日本に移すために、地方ごとに法人税率の引き下げを行うのはいいと思います。
これは、今話題の経済安全保障にも直轄することですしね。
経済安全保障とは、経済的な問題を安全保障と結びつけて考えようという概念です。半導体や防衛装備品、マスクなどをつくる工場がすべて国外にあると、戦争とか感染症のような有事のときにこれらの供給が止まってしまうかもしれません。実際、日本はマスクの生産を中国に依存していました。結果的に、その供給は止まってしまいました。さらに、日本の技術を守ることも大切になります。ルールを守らない人権殺戮国家・中国共産党を野放しにしていると、日本が積みあげてきたとても大切なテクノロジーがガンガン国外に流出してしまうかもしれません。共産党の工作計画をなめてはいけません。
地方に工場や本社を移して、たくさんの雇用を生み出して、地域の商店街やスーパー、デパートなどの経済を活性化させて、日本経済のパイを広げていく。
税収を増やして、さらに成長戦略を拡大して、企業の売り上げを伸ばして、所得をガンガン伸ばす。そして、持続可能な社会保障戦略を描く。
今の日本経済に求められていることは、こういうことなのではないでしょうか。
政調会長には、PB黒字化凍結を訴えた高市さんが就任しています。
しっかりと国がバックアップする、民間の成長のきっかけとなる投資をする。
それでこそ、日本経済は成長軌道にのることができるのです。
まとめ
岸田さんはホントにいい人だというのはわかるのですが、いまいち「普通の人」どまりになってしまいます。
カリスマ性がないといえばいいのか、新しさがないといえばいいのか。
よく言えば合理的・保守的な政治家、悪く言えばイメージや理念がうすい政治家。
たとえば、今度の衆議院選挙の選挙日は「仏滅」です。
野党の支持率がいい感じに低迷してきている今こそ、解散の合理的なタイミングだと思ったのでしょう。
岸田さんはある意味合理主義者なので、暦みたいな神的なものにに興味がないともいえます。
六曜のようなものを大事にしてきた安倍政権とは大きく違う点ですね。
もちろん、合理的な計算のもとに淡々と政治をすすめていくのもいいと思います。
ですが、やはりそれだと国民に訴えかける「岸田」という男のイメージが薄くなってしまうと思うわけです。
岸田文雄たらしめる特別な何かを、一つや二つくらいもってほしいものです。
さて、今月末にはいよいよ衆院選が待ち構えています。
ですが、なんとか単独過半数くらいはがんばってほしいです・・・。
少なくとも、立憲民主が思いのほか票数を伸ばして、公安調査庁により破壊活動防止法にもとづく調査対象に指定されている共産党と協力してしまうような地獄だけは避けていただきたい。
岸田さんで戦うことは変えられないわけですから、なんとかわ選挙戦を駆け抜けていただきたいですね。